幻想堂書店

2匹の子犬(シロとクロ)が本屋の店番をすることになりました。漫画や小説などのファンタジー作品をメインに紹介します。

【ファンタジー小説】エルフ耳の元祖?『ロードス島戦記』はTRPGから生まれたって本当!?

 今回は『ロードス島戦記』!

シロ

 

第2回目は『ロードス島戦記』を紹介するよ!実は今年の8月に、久しぶりの新作となる『誓約の宝冠』が発表されたばかりなんだ!

クロ

 

ということは、紹介のタイミングとしては悪くない感じだな

シロ

 

そうだね!どんなお話か知らない人もいると思うから、1988年に発表された『ロードス島戦記』について話をしていくよ!

作品名 ロードス島戦記
ジャンル ファンタジー・小説
原作・原案 水野良(著者)
安田均(原案)
イラスト 出渕裕
巻数 単行本 全7巻
掲載誌

『コンプティーク』

※TRPGリプレイのみ

発行部数

1000万部以上

※『新ロードス島戦記』と合算

『ロードス島戦記』はTRPGから生まれた作品?TRPGってなに?

クロ

 

前回の『ロト紋』はゲームのドラクエ世界を漫画化した作品だったが、『ロードス島戦記』もなんかのゲームから生まれた作品なんだって?

シロ

 

うん、もともとは『Dungeons & Dragons(ダンジョンズ&ドラゴンズ、D&Dとも呼ばれる)』っていう、テーブルトークRPGの誌上リプレイとして雑誌に掲載されたのがはじまりなんだって!

クロ

 

その、テーブルなんちゃらってのはやったことねえんだが、テーブルの上でやるゲームなのか?

シロ

 

ボクもやったことないけど、そうみたいだね。プレイヤーは、自分が操作するキャラクターを紙に書いて用意するんだよ

クロ

 

それならオレは『神殺しを為し遂げたが、それを見ていたほかの神々に強大な力を恐れられて奈落の底に封印されたのち、暗黒次元の力を取り込むことによって全てを超越する存在となり、金魚すくいの紙を破るかのごときたやすさで封印を破って復活した古代の英雄クロ』というキャラを作ったぜ。能力は全部最大でレベルは∞だな。どんな魔法あんのかしらねえけど、全部使えるようにしとけよ

シロ

 

そんなムチャクチャなキャラは作れないし、肩書きが長すぎだよ!

クロ(怒り)

 

なんでダメなんだよ!オレが考えた最強のキャラに逆らうのか!!

シロ

 

TRPGにはルールブックがあるから、キャラクターメイキングで割り振れる能力値の合計が決まってるはずだよ

クロ

 

ちっ、世の中ってのはなにをやるにもルールに縛られて息苦しいな。もっと自由になりたいぜ

シロ

 

クロはじゅうぶんに自由すぎだよ。TRPGにはルールブックに従ってゲームを進めるゲームマスターがいて、プレイヤーとお話しながらゲーム世界で起きるいろんなイベントを解決していくんだ

クロ

 

それってどういうことだよ?

シロ

 

クロが迷宮を進んでいくと、通路が突き当りで左右に分かれていたよ。どっちに曲がる?

クロ

 

あぁ?とりあえず右行け

シロ

 

右に曲がると……、タイヘンだ!武装したゴブリンにばったり出くわしたよ!どうする?

クロ

 

古代の英雄クロに『逃げる』などという情けない選択肢はないぜ。『戦う』に決まってるだろ!瞬殺を狙ってやっこさんの喉笛に飛びかかってやる!

シロ

 

一撃で倒すためには12以上の目を出さなきゃいけないよ。(サイコロを3つ振る)……あ!7だから失敗しちゃった!HPが半分くらい残ったので、ゴブリンから反撃を受けちゃうよ!相手の近くに飛び込みすぎたから痛恨の一撃をもらう確率が高くなってるね!え~と、サイコロの目は……

クロ

 

ちょっと待て!重大な判定ミスがあったぞ!?7が出た瞬間、古代の英雄クロの異能力『邪神の見えざる手』が発動してたぜ!サイコロがゾロ目の「666」になって、さらに+13のボーナスポイントが付いたはずだ!

シロ

 

勝手にヘンな能力を作ってズルしちゃダメだよ!

クロ(怒り)

 

ヘンな能力とはなんだ!オレが考えた最強の便利スキルにケチをつけるのか!暗黒次元に侵入してきた邪神を逆に屠(ほふ)ってやったときにこの異能力を獲得したというエピソードを知らないのかよ!

シロ

 

知らないよ!ルールブックにも載ってないズルい能力を勝手に作っちゃダメだよ!

クロ(怒り)

 

ないなら書き足せ!今すぐにだ!

シロ

 

そんなのムチャクチャだよ!……とにかく、こうやってプレイヤーとお話しながら進めていくのがTRPGというゲームの形式なんだよ。クロみたいに一般的なプレイングから逸脱した行動を選択するプレイヤーがいるときも、サイコロを振って成功か失敗かを決めるんだって

クロ

 

古代の英雄を異端者扱いするんじゃねえ!異端審問する気なら逆に審問し返してやるぜ!

シロ

 

異端審問じゃなくて、ルール内で柔軟に対応するための措置だよ!ヘンなオリジナルスキルを認める場合は、サイコロの目がいくつ以上とか、特殊な数字の並び目じゃないと失敗って判定にするのかなぁ?ズルいスキルなら失敗した時のペナルティも必要だよね。失敗した場合はHP(ヒットポイント)が1になるよ!

クロ

 

失敗しただけで瀕死(ひんし)じゃねえか!なんでもルールを守れとか、お役所のニンゲンみたいだな!……まぁ、テーブルなんとかってやつのなんとなくの雰囲気はわかったぜ

シロ

 

仕組みとしてはゲーム機で遊ぶRPGと同じなんだよ。コンピューターRPGの場合は、ゲームマスターがサイコロを振って判定する役をゲーム機が自動でやってくれてるんだ。会心の一撃が出るのも空振りするのも、ゲーム機が毎回乱数を決めてるんだよ

クロ

 

そういうことか。ゲーム機の場合はこっちがテキトーに行動してれば、コンピューターが中でなんとかしてくれるもんな

シロ

 

……なんか、スゴく疲れちゃったけど、TRPGの説明はこのくらいにしておくね

誌上リプレイを「長編ファンタジー小説」として構築したのが作者の水野良さん!

シロ

 

『ロードス島戦記』の設定は、誌上リプレイを作成したグループSNEというクリエイターの人たちの会社が作ったみたいだね。『Dungeons & Dragons』だけじゃなく、他のゲームのルールを使って遊べるようなファンタジー世界を個別に作ってたんだって

クロ

 

舞台や人物をそのまま使って、別のゲームでも遊べる世界を考えてたってことか?

シロ

 

そうだよ。リプレイの『ロードス島戦記』は、コンプティークっていういろんなゲームを紹介する雑誌に掲載されていたんだけど、出版する時に『Dungeons & Dragons』の版権が問題になったみたい。でも、リプレイに使用したルールブック以外はオリジナル世界のものだから、ストーリーを小説に書き直して発表することができたんだって

クロ

 

ルールブックを使用したリプレイじゃねえから、D&Dは版権を主張できなくなるってことだな?

シロ

 

そうだね。誌上リプレイをそのまま単行本にするのは権利上の問題があったけど、当時ゲームマスターを担当した水野良さんがファンタジー小説として書いたのが『ロードス島戦記』なんだよ。原案の安田均さんは「自分はゲームやリプレイでキャラクターを作ったり、少しの修正を加えるくらいしかしていない」って1巻のあとがきで話してるね

クロ

 

シナリオもオリジナルで考えてたってことだよな。最初は小説化することまで考えてなかったかもしれねえが、たいしたもんだぜ

シロ

 

だから、誌上リプレイのプレイヤーキャラクターたちが、そのまま『ロードス島戦記』の登場人物として出てくるんだよ。中でもハイエルフのディードリットは人気が高かったんだって。イラストを描いたのは出渕裕さんという人で、耳が長くとがっているのが特徴的だね。日本では、エルフといえば「耳が長いイメージ」があるのは、ディードリットの影響だって言われてるんだよ

クロ

 

確かにエルフのイラストを検索すると耳がやたらと長いのが多いな。指輪物語の映画だと、耳の先がちょっと尖ってるくらいだぜ

シロ

 

もともとはそれがエルフのイメージなんだろうね。耳が長いエルフのイメージは日本から出てきたものだけど、最近は海外のエルフも耳が長いデザインが増えてきているみたいだよ

クロ

 

てことは、海外の人たちも影響を受けてんだな。ちょっと長すぎな感じもするけどな

シロ

 

寝るときタイヘンそうだよね。ボクは耳が垂れてるから、「ペタン!」って開いて寝ないと落ち着かないんだ

【ボクが寝るときの図】

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クロ

 

いちいち画像で説明することかよ!……まぁ、あんだけピーンと突っ張ってたら寝返りはうてねえかもなぁ

シロ

 

寝返りをうつだけで痛くなって起きちゃうと安眠できないよ!耳が長いとタイヘンだよね!ボクは共感できるなぁ!

クロ

 

よくわかんねえが、耳の長いエルフとお前に共感できる読者がほとんどいねえことは確かだぜ!

【あらすじ】『ロードス島戦記』はどんなお話?

シロ

 

……そろそろ本の内容についても紹介したほうがいいよね?

クロ

 

えらく前置きが長かったな!寝るときの耳がどうとかのくだりは必要だったか!?

シロ

 

だって気になったんだからしょうがないよ!――とりあえず、第1巻のあらすじを引用するね

 30年前の魔神との戦いの傷も癒え、平和の続くロードス島に、新たなる戦乱の兆しが現れ始めていた。暗黒の島マーモの皇帝ベルドが、カノン王国を攻め滅ぼしたのだ。しかも、彼の背後には強大な力を秘めた謎の魔女、カーラの姿があった! その頃、辺境の村ザクソンの青年パーンは、己の正義感の赴くまま、神官のエト、ドワーフの戦士ギム、魔術師スレインらとともに、故郷の村を旅立とうとしていた。自分の前に立ちはだかる、大いなる運命も知らずに……。

シロ

 

小説の冒頭は、ドワーフの戦士ギムが大地母神マーファの神殿を訪ねるところから始まるよ。七年前にさらわれた司祭の娘さんを取り戻すための旅に出るんだって

クロ

 

そのドワーフも誌上リプレイのときからいるキャラクターなのか?

シロ

 

う~んと、そうだね。主人公パーティーはみんなプレイヤーキャラクターだよ。それ以外のNPC(ノンプレイヤーキャラクター)がシナリオに参加する場合は、ゲームマスターが操作するみたい

クロ

 

それで、どういう経緯で主人公たちがパーティーを組むことになるんだ?

シロ

 

パーティーを組むのはもう少し後のことになるね。そのころザクソンという村で、近くの洞窟にたくさんのゴブリンが移住してきたという問題が起こってたんだ。パーンという青年が、村人みんなで立ち上がってゴブリンをやっつけようと提案するんだけど、村人たちは誰も賛成してくれなかったんだよ

クロ

 

ゴブリンごときに恐れをなすとはおく病な村人たちだな。ゴブリンなんてちょっとレベル上げして装備をそろえたらイチコロだろ

シロ

 

ゲームでは弱いモンスターでも、普通の人にとっては恐ろしい存在だってことだよ。パーンは騎士だった父親が30人の山賊を相手に戦ったことを話してみんなに奮起を促したんだけど、逆に「お前の父親は敵から逃げ出して山賊に殺されただけだろう」って侮辱されてしまうんだ

クロ(怒り)

 

イヤな連中だな!こんなヤツらほっといてもいいんじゃねえか!?

シロ

 

パーンは激怒して酒場を去るんだけど、ゴブリンたちを放っておくことはできなかったんだ。そこで親友である神官のエトと一緒に作戦を考えて、洞窟に向かうことにしたんだよ

クロ

 

行くのはいいけど、ちゃんとレベル上げして装備買ってから行けよ

シロ

 

これは小説だからレベル上げはできないよ!――それで2人が洞窟に出発してから、村長が村に住んでいる魔術師のスレインさんに相談に行くんだ。そしたら、スレインさんの友人であるドワーフのギムさんもいて、ゴブリンの話を聞くなりいきり立って若者2人の助太刀をしてくれることになったんだよ

クロ

 

なんでゴブリンの話を聞いただけでいきり立ってんだ?

シロ

 

昔から敵対している種族みたいだよ。ゴブリンもドワーフも地下に住んでいるから、縄張り争いとかいろいろな因縁がありそうだね

クロ

 

まぁ、イヌ同士でも縄張り争いはあるからな。とりあえず応援が来るなら楽勝って雰囲気だぜ

シロ

 

でも、パーンたちは既に戦闘を始めていたんだよ!最初に奇襲をかけたんだけど、見張りに仲間を呼ばれて用意していた作戦通りにいかなくなっちゃったんだ。ゴブリンの集団に取り囲まれながらも半分くらいは倒せたのに、だんだん疲労がたまってきて形勢が不利になっていくんだよ。ゴブリンの武器には毒が塗ってあって、傷を受けてから毒が回って動けなくなっちゃうんだ

クロ

 

もうリセットボタン押すしかねえな。……で、そのあとどうなるんだ?

シロ

 

「絶体絶命の大ピンチ!」だけど、あとは本を読んでからのお楽しみだよ!

クロ

 

そう来るような気はしていたが、なんか腹立つぜ!

【登場人物】主人公たちが旅に出る目的は?

シロ

 

じゃあ、『ロードス島戦記』の主人公パーティーについて簡単にまとめてみるね

・パーン

 ザクソンの村に住む青年。英雄になりたいという夢がある。

・エト

 パーンの親友。至高神ファリスに仕える神官。

・スレイン

 賢者学院出身の魔術師。訳があってザクソンの村にいる?

・ギム

 ドワーフの細工師。斧を軽々と扱う怪力の戦士でもある。スレインとは知り合い。

【今後登場する仲間】

・ディードリット

ハイエルフの精霊使い。見た目は少女だが160年も生きている(!?)

・ウッド・チャック

 盗賊。金持ちの館に盗みに入り、捕まって20年も獄中にいた。

クロ

 

物語の導入部で出てきたのは4人だな。……んで、ドワーフのおっさんはどっかの司祭の娘さんを探す目的があるんだよな?

シロ

 

パーンは自分の実力不足を思い知って、武者修行の旅に出たいと考えているんだ。ドワーフのギムさんも司祭の娘さんを探す旅に出ようしているんだけど、特に探す当てがあるわけでもないみたい。結局なりゆきで、ギムさんとスレインさんの旅にパーンたちも同行するという形になったんだ

クロ

 

目的はあってもどこに行くかは決まってねえ旅なんだな。でもよ、当てもなく歩き回るのは結構つらいぜ?

シロ(笑顔)

 

ボクは楽しいけどなぁ。知らないところをたくさん見て歩くのは面白いよ!ボクも修行の旅に出ようかな?

クロ

 

お前が修行に出て何になるんだよ?

シロ騎士

 

パーンは修行を積んで、いつかお父さんみたいな騎士になりたいと思ってるんだよね。じゃあ、ボクも騎士になる!シロ騎士のシロだよ!

クロ

 

白騎士ってことなんだろうが、カタカナ表記にされると妙なイライラ感があるな……。ああくそ!イラつくぜ!

シロ騎士

 

この格好をしてると本当に騎士になった気分がするよ。勇者もカッコいいけど騎士もカッコいいよね!

クロ

 

シロのくせに調子こいてるとなんか腹立つな……。またイヌの役をやれって言われる前になんか探してくるか

シロ騎士

 

イヌがイヤなら、騎士に倒される化けイヌの役もあるよ!

クロ騎士

 

結局イヌじゃねえか!その手には乗らねえぞ!オレはクロ騎士のクロだ!

シロ騎士

 

どうして黒騎士の「黒」がカタカナなの?

怒りのクロ騎士

 

お前に合わせてやったんだろうが!

【まとめ】『ロードス島戦記』は日本のヒロイックファンタジーの原点的な作品!

シロ

 

『ロードス島戦記』についてネット上に書かれている感想をまとめるよ!

【よい点】

  • 物語が王道的でわかりやすい
  • 主人公が圧倒的なチート能力を持つわけではなく、未熟な若い戦士が仲間と一緒に旅をする過程で経験を積んで運命を切り開くところがいい
  • 外国のファンタジー要素を日本人好みにうまく仕立て上げている
  • 各登場人物の思想・行動原理がしっかりしている

【わるい点】

  • 王道なのでひねりはあまりない
  • 主要人物に扱いの悪い人がいてかわいそう
  • 主人公の成長が早すぎる気がする
  • 作者の初期の作品なので文章はあまりうまくない

クロ

 

いい点とわるい点って裏返しみたいなところもあるよな。「王道的でわかりやすい」といえばいい点になるし、「ひねりが足りない」といえばわるい点になっちまう

シロ

 

そうだね。主人公が成長していく早さだって、読む人によって爽快感をおぼえるスピードが違うと思うよ

クロ

 

まぁ、感想を持つのは読んだ人の自由だしな。自分が気に入るかどうかは読んでみるまでわからないってことだ

シロ

 

感想は参考情報としてまとめているけど、まとめ方はこれから少しずつ変えていくかもしれないね

クロ

 

もう少しあっさり紹介するだけでもいいかもな。確定事項かのように列挙すると違和感をおぼえる人もいるだろうしな

シロ

 

そのあたりはこれからカイゼンしていかないとね!……それで、次の紹介作品のことなんだけど

クロ(汗)

 

オ、オレを見ても用意してないもんは用意してないぜ!

シロ

 

実はボクも決めてないんだ。候補はいくつかあるんだけど、どれがいいかな?

クロ

 

まったく、ひとりではなにも決められない優柔不断なヤツだな。仕方ねえからオレが特別に助言を与えてやろう。まずは候補を教えろ

シロ

 

じゃあ、次の作品はクロと相談してから決めることにするね!

 

【今回紹介したファンタジー作品】

ロードス島戦記